comme ca ism コムサイズム

comme ca ism

comme ca ismは時代の寵児になりつつある。私が若かりし頃、つまり90年代。comme ca は高嶺の花だった。

 

大学生だった頃の私に今日のcomme ca ismの業態がどうして予想できただろうか。1976に創業したcome ca の母体であるファイブフォックスは90年代前半まで、ひたすら高額ブランド路線を突っ走ってきたのである。

 

comme ca ismに見られるような気軽さは微塵も無かった。comme ca ismが当時あったらどんなだったろうと考えなくもないが、よく思い返せば、comme ca は高額で希少だからcomme caだったのであり、comme ca ismがあったとしても、当時は見向きもしなかっただろう。

 

なんと言っても、当時のcomme caは業界人御用達だったし、時代背景や世相が全く違ったのだ。commeca ismは93年に発足はしていたものの、2000年の声を聞くまで、つまりバブル後の経済の立ち直りを見るまでは開花しないのだから。

come ca ismのデザイン

comme ca ismの上手なところは、セグメントの見抜き方とポジショニングだろう。comme ca ismは徹底的なマーケティング思考の発想から生まれた。

 

つまりcomme ca初期から90年代初頭までの台頭期からの脱却を狙い、10年後を視野に顧客分析や世相を徹底的に研究した結果が、comme ca ismのファッションデザインだけでなく、ビジネスそのもののデザインに行き渡っているのだ。第一、comme ca ismはユニクロを見ていたという。

 

comme ca からすれば、完全に対極だ。片や価格破壊、片や希少、高額ブランドである。この逆説研究が今日のcomme ca ismを作り出している。過去10年から15年で本当に日本社会は変革した。その時流を作り出したユニクロの動きをいち早くキャッチするところからcomme ca ismのプランニングは始まっていた。

 

本体comme caは、まだ絞れるブランドだったから、comme caとして業態変更するわけにはゆかない。そこでcomme ca ismを立ち上げ、その中でcomme caのブランド力を適度に残しながら、お手軽comme caを作る事をコンセプトに始まったわけだ。

comme ca ismブランド

comme ca ismのベースの考え方は単純シンプル。つまり、お手軽comme caなのだけれども、comme caブランドのウリは捨てなかった。

 

この事が90年代初頭をcomme caに憧れながらも変えなかった当時の貧乏学生だった私のような存在には大きくアピールする。今では結婚もし、子供もできた。父兄参観だっていかなきゃならない。

 

そんな時に、服に困るのだ。comme ca ismは、この層を確実につかんだ。comme caの名前は一生頭から離れないという私の世代は数百万人居る。家族もあわせると大変な数だ。comme ca ismが郊外に出て、そういった層を直撃すればcomme ca ism礼賛が起きるのは言うまでも無い。

 

現在の35歳から45歳までの世代は確実にcomme ca ismに取り込まれている。なんたってcomme caなのだ、そのテイストというか、らしさを失わないなかで、お安く、お手軽に使える、そんなありがたい存在がcomme ca ism。こりゃもう、comme ca ismの天下はしばらく終わりそうに無い。